ユ容疑者はソウルの貧しい家に生まれ、中学生の頃に父親を病気でなくし
後に兄も亡くしている。
父親からは毎日のように折檻を受け、実の母親もいない不遇な境遇だった。
愛情に飢え友人も少なく孤独な少年時代を送り、
10代から盗みなどを働くようになったとされる
学生時代は「チェ・ゲバラ」「ニーチェ、ヒトラー」「金日成」な等の書籍を読み
耽り彼らを敬愛していた。
(精神鑑定過程で明らかになった。友人がいなかったのは環境のせいじゃないと思うが。)
「風貌の悪さ」、「足のやけど」、「学歴」に対して強いコンプレックスがあり、
芸術高校への進学が失敗し彼は自分の生活への希望を捨てたようだ。
そして10代からの窃盗に加え、高校時代から非行はエスカレートしていき、
18歳から33歳までの間刑務所への入退所生活を繰り返し生活していくようになる。
(14回程の盗み、詐欺、暴行、強姦などの犯罪行為により約11年服役する。)
1991年、結婚。これが転機とはならず、素行の悪さは相変わらずで、
当たり前のように妻に離縁を突きつけられる。
そして、それを逆恨みし、世間に対する憎しみや女性に対しての嫌悪を
増幅させていった。
類を見ない凶悪は猟奇殺人鬼へと姿を変えていくのは、この離婚が引き金とされている。
(本人はそれを否定。
「家庭環境のため殺人をしたのではない。離婚した前妻の問題は連続殺人の動機の10%にもならない」と精神鑑定の過程で証言した。この証言は家族に危害を及ぶことを危惧してのためとされる。)
2003年9月から2004年7月の約10ヶ月の間に17回にわたって21人を殺害した。
殺害されたのは、売春婦から金持ちの老人等である。
(そのうち11遺体をばらばらにして埋め、3遺体を焼いた。)
この犯罪の恐ろしいところは、犯人の猟奇性でもある。
「自分が殺した人のうち、6人の死体は臓器の一部がないはず」と供述。
「普段から気管支が悪く、殺す前に血液型を聞いて、
O型だったらその人の臓器を食べた。」
「漢方医学の本を見て好奇心で、ほかの臓器も食べてみた」と話した。
(つまりは自分の体の治療のため漢方と考えて食人していた。)
「最初は粉砕機で細かくしていたが、徐々にその必要がなくなった。
静寂の中で死体をバラバラにするのが怖く、大音響で音楽を流しながら作業した」
「検挙当日に自宅に来た女性2人は、身長が高かったので追い返した。
身長が高くなければこの2人も死んでいただろう」
「自分と同居し、自分を傷つけて出て行った女性と名前が同じであった場合は、
顔や尻、性器まで残忍にえぐり取った。」
(この供述については上記の元妻への憎悪も関与しているように受けとれる。
矛盾した発言である。)
犯人は、狂気を常に募らせ被害者を残忍に殺すことを目的としているのが伺える。
女性への嫌悪や金持ちへの憎悪からの犯行と常に犯人は話していたが
、露天商の男性を殺害した容疑も後で明らかになり、
金持ちや女性では括れない矛盾点も浮き彫りとなった。
逮捕された当初から、警察やマスコミにおいても常に攻撃的な姿勢を崩さず
「社会の構成員であることを放棄し、
『100人を殺すつもりだったが、早く逮捕されて悔しい』と話していた。
(犯行は始まったばかりだった等とも嘯き、
まさに狂気性においては類を見ない容疑者である。)
逮捕されたきっかけは2004年7月14日、
ソウルの警察署に寄せられた一件の情報だった。
ソウル市内の出張マッサージ手配業者が「30代の男からの電話で呼ばれた女性従業員が戻らない」と警察に通報した。
暫くして同じ業者から「同一人物らしい男から電話があった」と再び通報。
警察は、待ち合わせ場所に現れた犯人が、他人の携帯電話を所持していた窃盗容疑などで緊急逮捕した。
当初、軽い容疑と見ていた警察は取り調べで
「20人以上殺した」というユの自供に愕然となった。
迷宮入り状態だった昨年秋の資産家連続殺人に続いて、
警察も知らなかった出張マッサージ女性連続殺害も供述。
自供に基づき18日、市内の山中2カ所から女性11人のバラバラ遺体を見つけ、
供述の信憑性があることの確認を取った。
-------------------------事件に関連した特記事項
・事件の被害者遺族が(初老の婦人)警察署の前で、連行される犯人を罵った時、阻止するためかあろうことか刑事が遺族を暴行。(蹴ったりした。)
その場面をカメラで捕らえていたため、報道後警察は謝罪した。
・犯人の態度が常に権力に対じし、帽子を目深にかぶった風貌がクールがとしたグルーピーが出現、ファンクラブ等を作り会員を募った。
・裁判の出廷を拒んだり、被害者遺族へ裁判中暴言を吐いたりと反省は更正を見受けられるような態度は一度も見せたことはなかった。
2006年6/9死刑判決確定。
死刑を検察に求刑されたとき、ユ・ヨンチョルは「感謝する」と言った。
母を求め家出を繰り返した幼い過去、愛する人に見放されたとき、暴走した自分のコンプレックスでただひたすら人を憎み社会へ唾棄した卑劣な殺人鬼。死刑は彼の自殺への幇助なのか。
幼い我が子に自分は父親であると死って欲しくないという一面も見せた殺人鬼。
---------------愛息に幼い自分を見ているのだとしたら、殺人等おこしてはいけなかったはずだ。